さとし日記

東大大学院M2。認知科学専攻。考えたこと、感じたことを、シンプルに。メディアでの引用は連絡なしでどうぞ!

「EPRパラドックス」って何? 5段階のレベルで説明

(1) 子供向け:

EPRパラドクスは、遠く離れた2つのものが、なんだかんだで互いにつながっているような変な現象を指すよ。たとえば、2つのくじがあって、君が一つを引いたとき、もう一つのくじの結果がすぐに決まるような感じだよ。でもこれ、本当に遠く離れたものでも起きるんだって。

(2) ティーンエイジャー向け:

EPRパラドクスとは、アインシュタインと他の2人の科学者が考えた量子力学に関する問題だ。2つの粒子が一緒に生成され、離れた場所に行ったとしても、一方の粒子に何かをしたら、もう一方の粒子もすぐに反応するっていうのがEPRパラドクス。でも、これって、情報が光速以上で伝わるという、一般的な物理法則に反するよね。

(3) 大学生向け:

EPRパラドクスは、アインシュタインポドルスキー、ローゼンが1935年に提唱した思考実験です。2つの粒子がエンタングルメント(量子もつれ)状態にあり、それぞれ遠く離れた場所にあったとしても、一方の粒子の状態を測定すると、即座にもう一方の粒子の状態も決まるというもの。しかし、これは相対性理論による情報の伝達速度の制限(光速)を破ってしまうという問題を引き起こします。

(4) 大学院生向け:

EPRパラドクスは、局所実在性と量子力学の予測が一致しないという問題を示す思考実験です。エンタングルメント状態の2つの粒子が空間的に分離されたとき、一方の粒子の観測が即座に他方の粒子の状態を決定します。これは一見、情報が光速以上で伝播することを示唆してしまうが、このパラドクスは1964年にベルの不等式とそれに続く実験により解消されました。量子力学の予測が正しく、物理現象は局所的な実在性を持たないという結論に至りました。

(5) 専門家向け:

EPRパラドクス量子力学の非局所性と、古典的な因果律相対性理論との一見した相互矛盾を示すものである。このパラドクスは、エンタングルド状態の2つの粒子が空間的に分離されていても、一方の粒子の観測が即座に他方の粒子の状態を決定する、という非直感的な結果を予測します。これは、相対性理論における光速制限を超えて情報が伝播するという、直感に反する結果をもたらします。しかし、1964年にベルによって提出されたベルの不等式と、それに続くアスペらの実験は、このパラドクスを解消しました。量子力学の予測が正しく、局所的な「隠れた変数」理論は否定され、非局所性が実証されました。この非局所性は、量子情報科学、特に量子コンピューティングや量子暗号などの分野で重要な役割を果たしています。

この記事は、Wiredの企画を参考に作成しました。


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